Contents
芥川賞の注目度が近年上がっています
芥川賞は、1935年から続いており、日本の純文学の賞の中で最も権威のある賞です。
同様に有名な権威ある賞として、直木賞がありますが、直木賞は大衆文学の賞です。
しかし近年の作品を見ると、大衆文学っぽい作品も芥川賞に選ばれています。
純文学というと、ストーリー性がなく読みにくい、という印象を持つかもしれませんが、芥川賞を受賞している純文学作品はストーリー性も持ち合わせていて、非常に面白いです。
近年はお笑い芸人の又吉さんが『火花』で受賞したことから、純文学に興味がなかった人も芥川賞に興味を持ち始めています。
『火花』以外の芥川賞受賞作品も非常に面白いので、今回は純文学初心者でも楽しめる、おすすめの芥川受賞作品を5つ紹介します。
1作品目 村上龍『限りなく透明に近いブルー』
こちらは村上龍さんの言わずと知れた名作です。
内容は比較的過激なものなので、子供にはオススメできませんが、大人にはオススメできます。
過激な内容であるのに、言葉遣いは淡々としており、そのコントラストがまた一層話の面白さを引き立てています。
村上龍さんといえば、13歳のハローワークや、カンブリア宮殿の司会者としても有名ですが、彼の真骨頂はやはり小説です。
村上龍さんの作品だと、本作以外に『コインロッカー・ベイビーズ』もおすすめです。
2作品目 村田沙耶香『コンビニ人間』
こちらは2016年に芥川賞を受賞した作品です。
題名の『コンビニ人間』というのが非常にキャッチーで、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
芥川賞受賞作品の中では、かなり読みやすい部類の作品です。
コンビニでバイトをする女性の話なのですが、なかなかサイコパス的な部分を持ち合わせており、普通の人間からすると少し狂気的ですが、面白いです。
又吉さんの『火花』と合わせて、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』は、芥川賞受賞作品を初めて読む人にはオススメです。
3作品目 絲山秋子『沖で待つ』
こちらの作品は2005年に芥川賞を受賞した作品です。
恋愛関係ではない仲のいい男女のお話です。
二人は、どちらかが先に死んだら、残った方はパソコンのハードディスクを破壊するという約束をします。
それが現実になった時、物語が動き始めます。
思わず涙してしまう、そんな作品です。
また、『沖で待つ』と一緒に収録されている『勤労感謝の日』は、総合職につく女性のお見合いの話です。
総合職をしている女性の気持ちが代弁されているように感じます。『勤労感謝の日』は女性におすすめです。
4作品目 津村記久子『ポトスライムの舟』
2008年に芥川賞を受賞した『ポトスライムの舟』。
こちらの作品は、工場で勤務する29歳の女性のお話です。
手取りが163万円の主人公はある日、世界一周するためのお金がちょうど163万円であることに気づくところから物語は始まっていきます。
不器用に生きる彼女の姿を見ると、働くとは何か、生きるとは何か、を考えさせられます。
と言っても、そんなに重い話ではありません。
読み終わった後、「私も頑張って生きよう」と思わせてくれる、読後感のスッキリとした作品です。
「自分は何のために働いているんだろう」という風に悩んでいる人にオススメです。
5作品目 池澤夏樹『スティル・ライフ』
『スティル・ライフ』は1987年に芥川賞を受賞しました。
他の作品に比べて、平易な文章なので、比較的読みやすいです。
池澤さんの本は、どこか不思議で、ゆらゆら揺られているような感覚を覚えます。
一度ハマると抜け出せない、そんな感覚です。
『スティル・ライフ』は、アルバイト先で出会った男に株の取引を勧められて……あれ、この人遠い過去から来た人じゃないのか……という話です。
うまく説明できなくてすみません 笑
作品は全体的に詩的で、読み始めると、最後まで流れるように読むことができます。
味わったことのない感覚を味わえると思うので、『スティル・ライフ』も芥川賞受賞作品の中でオススメの作品の一つです。
おわりに
今回は歴代芥川賞受賞作品の中から、初めて芥川賞受賞作を読む人にオススメする5作品を紹介しました。
芥川賞の歴史は長く、受賞作は他にも多くあります。
その入り口として今回の5作品を取り上げたのですが、他の作品も違う機会で取り上げていきます。
また、芥川賞は純文学の賞ですが、より一般的なエンターテーメント作品が多い、大衆文学の賞である直木賞のオススメの本も、次回紹介したいと思っています。
そちらと合わせてご覧になってください。