本屋大賞とは
まずはじめに簡単に本屋大賞について説明します。
本屋大賞は、2004年から始まった文学賞です。
文学賞というと、芥川賞や直木賞などが一番有名だと思います。
本屋大賞が芥川賞や直木賞などの文学賞と大きく違う点が、その審査員です。
一般的な文学賞の審査員は小説家や出版社の人間が行います。
ですので、プロ視点の賞と言えるかもしれません。
一方本屋大賞は、審査員が本屋さんで働いている書店員です。
ですので、我々一般人により近い視点の賞と言えます。
また、書店員は一般人の中でも読書量がかなり多いです。
そのような人たちが面白いという本が、面白くないはずがありません!
また、一般の書店員が審査員となっているので、文学界におけるしがらみ等も全くないので、本当に公正に面白いと思える本が大賞に選ばれます。
芥川賞や直木賞を取ると、小説家としては一種の箔がつきますが、
本屋大賞を取ると、とにかくその本が売れまくります!笑
今まで本屋大賞をとってきた全ての本が一冊残らず面白かったので、ますますその勢いに拍車がかかっています。
そんな本屋大賞ですが、2004年から行われているので、大賞作品だけでもかなりの数になってきました。
全てを読める時間のある人は全ての本屋大賞の小説を読むことをおすすめしますが、今回はそんな時間ないよっていう人のために、
私が読んできた中で本当に面白かった本屋大賞の受賞作品を紹介します。
おすすめの本屋大賞受賞作
1、『羊と鋼の森』宮下奈都
『羊と鋼の森』は2016年の第13回本屋大賞受賞作です。
ちなみに同年に本屋大賞にノミネートされた作品の中には、芸人の又吉さんが書いた芥川賞受賞作『火花』もありました。(火花は本屋大賞では10位。)
『羊と鋼の森』はあるピアノの調律師の話です。
田舎で育った主人公が、ピアノの調律師の見習いとして成長していくのですが、その過程で様々なことが起こります。
二人の姉妹のピアノの調律を通して主人公が成長していく過程は、本当に人間らしさを感じられます。
この本の中で一番素晴らしいと思ったのは、言葉の表現です。
ピアノの調律師の話なので、小説の中には音が多く出てきます。
小説ですので、その音を言葉を使って表現するのですが、それが本当に秀逸です。
言葉の使い方、表し方を見るだけでもこの本を読む価値はあります。
文字を見ているだけなのに、その情景や音をまざまざと感じられます。
こんな本は初めてだったので、ぜひみなさんにも読んでほしいです。
『羊と鋼の森』は本屋大賞受賞作でも文句なしにオススメできます!
2、『告白』湊かなえ
『告白』は映画化されたこともあり、非常に有名かもしれません。
2009年の第6回本屋大賞受賞作です。
最初この本を読んだ時は衝撃的でした。
一人娘を殺されたある教師の物語です。
事故死と判定されたが、その真犯人を突き止め、その真犯人に復讐をするというのが大まかな流れです。
これだけ聞くと、普通のミステリーによくありがちな小説ではないのか、と思うかもしれませんが、全然違います。
その復讐相手が学生であること、その復讐方法が一般人の想像を絶する方法であること。
これらによって『告白』は他のミステリー小説と一線を画しています。
読んで明るい気持ちになれる本ではありません。
しかし本当に衝撃的です。
ちなみに『告白』は作者の湊かなえのデビュー作です。
デビュー作でここまでの小説が書けるのは本当にすごいと思いました。
3、『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
こちらも堺雅人主演で映画化されたので、名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれません。
『ゴールデンスランバー』は2008年の第5回本屋大賞受賞作です。
作者の伊坂幸太郎さんは、第一回本屋大賞から、この2008年の第五回まで、すべてでノミネートされていました。
そして遂に大賞に輝いたのが、この『ゴールデンスランバー』です。
首相を暗殺した犯人として仕立て上げられた男が、二日間の逃亡で真犯人を見つけ出すというのが大まかなあらすじです。
もし他の伊坂作品を見たことがあれば分かると思うのですが、伊坂さんの小説の特徴はその登場人物にあります。
どの登場人物も非常に魅力的で、読んでいて非常に面白いです。
また、散りばめられた伏線を回収する鮮やかさも伊坂さんの小説の大きな特徴です。
『ゴールデンスランバー』はまさにそのような伊坂さんの小説の良いところが詰まっています!
登場人物は魅力的で、話の展開もスリリングで非常に面白く、また序盤から中盤にかけて蒔いた伏線が見事に回収されます!
本屋大賞受賞作の中でも文句無しで面白いです!
どのような人にもオススメできます。
もしまだ本屋大賞受賞作を読んだことがない人は、『ゴールデンスランバー』を一作目として読むことをオススメします。
また、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』以外のオススメの小説をこちらの記事で紹介しているので、もし興味がある人は見てみてください。
おまけ 『サラバ!』西加奈子
最後におまけとして西加奈子さんの『サラバ!』を紹介します。
が、おまけなのには理由があります。
それは、『サラバ!』は残念ながら2015年の第12回本屋大賞の受賞を逃してしまったからです。
しかし、その年の第2位に選ばれました。
惜しくも本屋大賞を逃してしまいましたが、歴代の本屋大賞に勝るとも劣らない小説なので、ぜひ紹介したいと思います。
(本屋大賞受賞作のオススメだけを知りたいという人は読み飛ばしてください!笑)
『サラバ!』は西加奈子さんの代表作です。
主人公の歩の幼少期から大人になるまでが描かれています。
ちなみにこの話の舞台はイランのテヘラン、大阪、エジプトと移るのですが、それは西加奈子さん自身の人生と被っています。
内容としては青春的要素もあれば、人間のドロドロとした部分もあります。
分量は多く、完全なる長編小説ですが、一気に読み終えることができるぐらい本当に面白いです。
生きる勇気をもらえます。
本当にパワフルな小説だと思います。
本屋大賞は受賞できませんでしたが、ぜひ読んでほしい一冊です。
ちなみに『サラバ!』は直木賞を受賞しました。
好きな本が文学賞を受賞した時はやっぱり嬉しかったです!笑
西加奈子さんの『サラバ!』以外のオススメの本も紹介しているのでこちらも見てみてください。
まとめ
・本屋大賞は全国の書店員が選ぶ文学賞
・一般人目線の賞なので、受賞作はどれもハズレがない
・オススメ①:『羊と鋼の森』宮下奈都
・オススメ②:『告白』湊かなえ
・オススメ③:『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎